生涯、技で生きていく。WAZAIKI(ワザイキ) 新潟版

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この道も40年近くになりますが、まだまだわからないことがありますよ。上には上がいますから、技を磨く余地があるなとも感じています。この仕事は一生勉強です。簡単な仕事じゃありません。でも、それが楽しいじゃないですか。ずっと成長を続けられる仕事ってそうそうないと思いますよ。

私たち左官は一発勝負ですから、失敗は許されません。やってることは単純で、材料を調合して壁に塗るだけです。でも、単純だからこそ奥が深い。平らに塗ることはもちろん、四隅はキレイに塗られているか、壁の出っ張り部分は真っすぐ塗られているか、乾きは十分か、などなど細かな技で出来映えが左右されるんです。

また、季節によっても仕事の仕方が変わってきます。冬は乾きが遅いし、逆に夏はあっという間に乾いちゃう。仕事スピードのコントロールもベテランにならないとできません。私だって、パーフェクトにできたことありませんから。だから、場所や環境によってコテを使い分けるんです。私の場合は、50種類くらいかな。一本として欠かせませんし、他人のコテを持つと変な違和感がありますね。

記憶に残っている仕事は、長野オリンピックのメインスタジアムの施工です。そういう一生残るような仕事ができるのが、この仕事の醍醐味です。昔の家屋は左官の腕の見せ所だったのですが、最近は少なくなってしまいましたね。でも、左官の仕事はなくなりませんよ。機械じゃ真似できませんから。仕上りの美しさを作れるのは職人だけですよ。職人は皆、負けん気をもって仕事に臨んでますから機械なんかにゃ負けません。左官の根性は伊達じゃないですよ。