生涯、技で生きていく。WAZAIKI(ワザイキ) 新潟版

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法面工事というのは、土砂災害を防ぐ工事のことです。皆さんも道路沿いにあるコンクリート壁を見たことあるんじゃないですかね。コンクリートで塗りつぶされた壁。土砂災害が起きる前に、長い杭を打ち、その周りを補強していくんです。言葉で言うとすごく簡単そうですが、この仕事は命がけです。男の中の男がやる仕事だと思いますよ。ロープにぶら下がって、雨の日も雪の日も、崖に向かって仕事する。難しいし、体力つかうし、危ない仕事。でも、そんな仕事も誰かがやらなきゃ世の中土砂災害だらけになってしまうんです。ニュースでもたまに見かけますよね。そんな事故を起こさないようにする、そして現場の目の前にある民家を守る。そう思うと、どんな辛い仕事でも「やってよかったな」って気分になりますね。

この仕事の難しいポイントは、毎回現場が違うというところ。土の堅さも違ければ角度も違う。そんな中、同僚たちと話しあって仕事の段取りや役割分担を決めていくんです。時には、現場まで歩いて半日かかる場所なんかもありますね。本当につらいですよ。雪の日なんかも現場も歩かないといけませんから。でも、やりきった後は最高です。誰かを救えるわけですし、目に見えてその場所に建造物が残るわけですから。車で通ったときも、ちょっとだけ嬉しくなります(笑)。若い頃やった仕事を見ると反省点ばかりですが(笑)。

一度だけロープから落ちたことがあります。その時の事は、忘れたくても忘れられません。よく生きて帰ってこれたと思いますね。完治するまで半年はかかりました。今でも後遺症が残っています。そこから学んだ教訓こそが、“当たり前を当たり前だと思わないこと”です。事故にあう前までは、普通に座ってご飯を食べれるのが普通だと思っていましたが、今ではそれが有り難い。仕事ができていることにも本当に感謝しています。慣れてきたな、って思う時が一番気を付けた方がいい。それは、仕事だけでなく何でも同じだと思います。そういった人生の教訓みたいなものを、この事故から学べたと思っています。

若手にも“安全”に関しては、こっぴどく教え込んでいます。うるさいなって言われる位がちょうどいいと思うんです。後輩に、僕と同じ目に遭ってほしくないですからね。でも、技術に関しては別。もっと負けん気をもってほしいですね。ギクシャクしてもいいじゃないですか。ちょっとくらいケンカするくらいがいいんですよ。そうやって“アイツを追い越してやる”って思う気持ちが強くなるほど成長できる。僕はそうやってここまで来ました。だから、これから入ってくる人にも、負けん気を持って仕事に臨んでほしいですね。そして、腕を上げて、安全に仕事をこなしていってほしいです。辛い仕事ですが、腕も人間性も成長しますし、誰かの為になる仕事はいいと思いますよ。